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愛と潤いのドリンク劇場『伊藤君と円先輩』11本目(N:藤間しおん I:石原理)

2010-04-26

☆ 伊藤苑に入社した天才的な味覚を持つ伊藤若葉君のドリンク探求物語。

▼11本目『コーラ』


僕はコーラの瓶に口を付けて、ぐいっと飲んだ。


伊藤茶色アイコン80

伊藤君「微睡(まどろ)む暗黒の中にシュワァァと弾け煌めく炭酸のビッグバン。爽やかに輝く流星群がパッと意識を照らす。刺激的な奔星は喉を潤し、体は喜び舞い踊る。凄いですね、このドリンク」


コカアイコン80

コカ「……まさか伊藤君。コーラを飲むのは……初めて?」


伊藤茶色アイコン80

伊藤君「はい! 瓶に口を付けて飲むのも初めてです。新鮮ですね」


コカアイコン80

コカ「オーウ! まさかこの地球上に、20年以上生きて一度もコーラを飲んだ事がない人類がいるとは! それに瓶ジュースを飲んだことがない? 君達、もっとお客様のニーズを知り給えよ。私などはデニムの服をオーダーメイドして、お客様になりきっているというのに!」


名波アイコン80

名波「笑止! 所詮貴様のデニムなどブランド品よ」


コカアイコン80

コカ「おや、君は持っているのかね?」


名波アイコン80

名波「うっ」


伊藤茶色アイコン80

伊藤君「僕も持っていません」


円先輩アイコン80

円先輩「俺は持ってるぜ」


コカアイコン80

コカ「さすが円君だ。御曹司君達も見習い給えよ」

コカはにやりと笑った。

続く

次回4月28日UP予定です♪

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愛と潤いのドリンク劇場『伊藤君と円先輩』12本目(N:藤間しおん I:石原理)

2010-04-28

☆ 伊藤苑に入社した天才的な味覚を持つ伊藤若葉君のドリンク探求物語。


▼12本目『E-vian』


伊藤家若葉自室。


伊藤茶色アイコン80

伊藤君「疲れた~」

ペンちゃん「ペーン」


伊藤茶色アイコン80

伊藤君「『E-vian』を持ってきてくれたのか。ありがとう」

僕は瓶を明かりに透かした。

伊藤君「ボール・スミスがデザインした優麗なストライプ・ボトル。この遊び心が素晴らしい」

水をコップ入れ、こくりと飲んだ。

伊藤君「口の中に滞留する硬水の重さ。200年前、この水は病を癒すと噂されていたようだけど、西欧人はミネラル不足だったのだな」

僕はベッドにぱたんと倒れた。

伊藤君「なんでコカが僕らの事を知っていたのだろう」

その時。


名波アイコン80

名波「ははは、おかえりー」


伊藤茶色アイコン80

伊藤君「うわぁ」

蒲団からいきなりお兄様が現れ、抱きついてきた。


名波アイコン80

名波「驚いたか、若葉。伊藤苑入社おめでとう!」


伊藤茶色アイコン80

伊藤君「も~、吃驚(びっくり)したじゃないですか」


名波アイコン80

名波「コカ公が気になるのか? あいつはエージェントもやっているからな。他社社員の素性ぐらい調べているだろう」


伊藤茶色アイコン80

伊藤君「エージェントって……引き抜きですか?」


名波アイコン80

名波「そうだ」
続く

次回4月29日UP予定です♪

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愛と潤いのドリンク劇場『伊藤君と円先輩』13本目(N:藤間しおん I:石原理)

2010-04-29

☆ 伊藤苑に入社した天才的な味覚を持つ伊藤若葉君のドリンク探求物語。


▼13本目『六甲山のおいしい水』


伊藤茶色アイコン80

伊藤君「他社の人が何故ウチの食堂に入ってくるのですか!?」


名波アイコン80

名波「円さんがあの性格だからなぁ。それにこの激動の時代、情報収集は重要だ。交流はしたほうがいい。先日、『六甲山のおいしい水』がお家食品から朝比奈へお嫁入りしただろ? 『E-vian』も今は当家とお付合いがあるが、いつどうなるか分からないぞ」


伊藤茶色アイコン80

伊藤君「六甲山のニュースは衝撃的でした。日本のミネラルウォーター界ではパイオニアですし。そういえば新工場で作られた2Lと、それ以外で採水場所も成分も違うとか」


名波アイコン80

名波「あぁ、それは花崗岩ミネラル問題に発展したやつだな。景品表示法違反で、公正取引委員会から排除命令が出た」


伊藤茶色アイコン80

伊藤君「『E-vian』に比べて日本の水はどれもミネラルが少ないですよね。五十歩百歩ですし、ミネラルにこだわらなくてもね」

お兄様はふふっと笑った。


名波アイコン80

名波「そうだな。我が家のようにバランスの良い食事を毎日食べられるのなら、そう考えても良いかもしれない」

続く

次回4月30日UP予定です♪

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愛と潤いのドリンク劇場『伊藤君と円先輩』14本目(N:藤間しおん I:石原理)

2010-04-30

☆ 伊藤苑に入社した天才的な味覚を持つ伊藤若葉君のドリンク探求物語。


▼14本目『ペットボトル』


伊藤茶色アイコン80

伊藤君「食事?」

僕はお兄様にゆっくりと後ろから抱きしめられた。


名波アイコン80

名波「そう、食事。若者の一ヶ月の食費平均は三万六千円程だ。社員食堂がある会社は希だから、コンビニなどでお弁当を買って食べる。そんな中で飲まれるのがジュースであり、水だ。安く、そして少しでもミネラルが含まれていたらいいと思うだろう?」


伊藤茶色アイコン80

伊藤君「そうですね。コンビニ弁当にはほとんど野菜が入っていませんから」


名波アイコン80

名波「また水質劣化による水購買客も、安くて栄養のある水を求める」


伊藤茶色アイコン80

伊藤君「でも硬水になると、日本人に合わない場合がありますよね」


名波アイコン80

名波「そうだ。お腹が緩くなるお客様がいる。そのバランスの見極めが大切なのだ。日本の多くのメーカーが軟水を選ぶのはそのせいだ。そこで差別化を考える。それがペットボトルだ。若葉、ほらこの真ん中の部分を掴んでごらん」

お兄様は僕の手を握って、窪みへと導いた。


伊藤茶色アイコン80

伊藤君「2Lペットボトルの凹みですね。持ちやすくて注ぎやすい」

続く

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愛と潤いのドリンク劇場『伊藤君と円先輩』15本目(N:藤間しおん I:石原理)

2010-05-03

☆ 伊藤苑に入社した天才的な味覚を持つ伊藤若葉君のドリンク探求物語。


▼15本目『色はす』


名波アイコン80

名波「大正解だ。良くできたな、若葉」

何故、こういう時のお兄様は誰よりも得意気なのだろうか。

名波「そしてこれ、『E-vian』。ほら若葉、ココを押してごらん」

僕とお兄様の手は触れあい、重なりあい、熱くなる。そして一緒にぐっと力を入れる。


アイコン 伊藤若葉顔黒80

伊藤君「んん……んっ!! あっ、ペットボトルが潰れました! 手で潰せるなんて感動だ」

お兄様は嬉しそうに微笑んだ。


名波アイコン80

名波「上下からぎゅっと圧すだけで潰れる画期的なペットボトルなのだよ。それに対してコカが出したのがこの『色はす』」

お兄様は『色はす』をこくん、こくん、と飲んだ。揺れる白い喉が美しい。唇が水に濡れて色っぽい。お兄様が飲むと何もかもが美味しそうに見えてくる。

名波「さぁ、これを握って」

耳に吹きかけられる甘い囁き声。
僕は優しく握った。
お兄様がそっと手を重ねてくる。
僕の背中にお兄様の胸が密接する。
熱が伝わってくる。
軽く力を入れただけで、容器はこしゅっと小さくなった。

続く

次回5月7日金曜日UP予定です♪

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愛と潤いのドリンク劇場『伊藤君と円先輩』16本目(N:藤間しおん I:石原理)

2010-05-07

☆ 伊藤苑に入社した天才的な味覚を持つ伊藤若葉君のドリンク探求物語。


▼16本目『午後は紅茶 茶葉2倍ミルクティ』


喫茶店。


アイコン 伊藤若葉顔黒80

伊藤君「円先輩遅いですね。ここで待ち合わせだって覚えてるかな。うわ~、お兄様、見てみて。縦ロールの美女が入ってきた」


名波アイコン80

名波「静かにしろ。同業者のエージェントだ」

縦ロールの美女はお兄様の後ろに座った。
大学にも髪を縦ロールにセットして通学する女性はいたけれど、髪型に振り回されていて、ままごとのようだった。
しかし同業者の美女は縦ロールに相応しい王女の品格を持ち合わせていた。
僕らの母は伊藤苑の女帝と呼ばれ、女王の風格がある。しかしそんな母も、知人のおば様方も和服が似合う髪型をしていて、縦ロールの似合う女性に僕は会ったことがなかった。
そう、縦ロールの彼女を喩えるとするならば『午後は紅茶 茶葉2倍ミルクティー』。ダイヤモンドのように光を反射させるペットボトルデザイン。しっかりとした紅茶の味と、茶葉の苦味を和らげるミルクのまろやかさ。

「待たせたな、希鈴」

その時、強面の男が、縦ロール美女の前に座った。

続く

次回5月10日月曜日UP予定です♪

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愛と潤いのドリンク劇場『伊藤君と円先輩』17本目(N:藤間しおん I:石原理)

2010-05-10

☆ 伊藤苑に入社した天才的な味覚を持つ伊藤若葉君のドリンク探求物語。


▼17本目『ボス。BLACK』


僕はちらりと男を見た。

三鳥井アイコン 80

男の顔には傷があり、武闘派といった雰囲気を漂わせている。
そう、『ボス。BLACK』の風格。
警察署密着24時で見るからにインテリヤクザな男が現れて、悪い男だと分かっていながら視聴者は惹き付けられてしまう。
しかし実は人情派で、非行少年を更生させている名刑事だった時のような驚き。
缶コーヒーには糖分や油分がたっぷり入った悪いイメージがある。
しかし『ボス。BLACK』は原材料がコーヒーのみで糖類も脂質も0gなのだ。
口に広がる漢らしい苦味と、すっと喉を通る飲みやすさ。
凛然(りんぜん)とした彼のイメージにぴったりだ。


希鈴アイコン 80

希鈴「私も今、来たところ。用件ってなに? 三鳥井」

希鈴と三鳥井。僕はその組み合わせに驚いた。ドリンク業界の巨頭会談ではないか。
お兄様は眉間にシワを寄せながら聞耳を立てている。
僕はドキドキしながら俯いていた。
その時、僕らを驚愕させる台詞が発せられた。


三鳥井アイコン 80

三鳥井「結婚してくれないか?」

続く

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愛と潤いのドリンク劇場『伊藤君と円先輩』18本目(N:藤間しおん I:石原理)

2010-05-12

☆ 伊藤苑に入社した天才的な味覚を持つ伊藤若葉君のドリンク探求物語。


▼18本目『三鳥井 黒烏龍茶


僕は吹き出しそうになった。


希鈴アイコン 80

希鈴「ほほほ。なんであたしが、21世紀にもなって同族経営をやってる古くさーい体質の貴方と結婚しなければならないのかしら?」

伊藤苑も同族経営ですいません、と僕は思った。


三鳥井アイコン 80

三鳥井「すまねえな。だがそんなしきたりも、俺とお前が結婚すれば変わる」

どくん、どくん。

鼓動が耳から聞こえてくる程、緊張している僕。


希鈴アイコン 80

希鈴「そもそも三鳥井家のゴットマザーは首を縦に振るの?」


三鳥井アイコン 80

三鳥井「俺達の問題だ。お祖母様は関係ねえ。お前しかいないんだ。希鈴」


希鈴アイコン 80

希鈴「三鳥井……」


三鳥井アイコン 80

三鳥井「希鈴……」

巨大企業同士の合併。めまいがする。
僕はお兄様の顔をちらりと見た。
お兄様は真っ青になりながら静かに震え、俯いている。


希鈴アイコン 80

希鈴「ふふふ、そうなの。結婚してあげてもよくってよ」

衝撃的瞬間。
僕は注文していたウーロン茶をぐっと飲んだ。
これは飲むと何故か体温が下がる『三鳥井 黒烏龍茶』ではないか!
案の定、体がさーっと冷たくなった。

続く

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愛と潤いのドリンク劇場『伊藤君と円先輩』19本目(N:藤間しおん I:石原理)

2010-05-13

☆ 伊藤苑に入社した天才的な味覚を持つ伊藤若葉君のドリンク探求物語。


▼19本目『午後は紅茶 シトラスアイスティー』


グローバリゼーション。
そんな使い古された言葉が頭に浮かぶ。
この小さな島国に生まれた僕らは何度その言葉に蹂躙されてきたことだろうか。
一強時代である21世紀、巨大企業は合併を繰り返し、さらに大きくなっていく。
当たり前の事なのだと分かっているものの、寒気が止まらない。


三鳥井アイコン 80

三鳥井「では具体的な話に移ろう」


希鈴アイコン 80

希鈴「そうですわね。あたしんちは証券取引所に上場していますけど、お宅は上場すらしていないものね」


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三鳥井「うん、まぁ、そうだ。そこで俺は統合比率をうちが0.9、そちらが1で」

希鈴が遮った。


希鈴アイコン 80

希鈴「ナメてんじゃないわよ。そっちが0.5、こっちが1。これは譲れない」


三鳥井アイコン 80

三鳥井「それは困る。最低でも拒否権がないとお祖母ちゃまが、あっ」

冷めた空気が、僕の席まで伝わってきた。


希鈴アイコン 80

希鈴「ならば、お祖母ちゃまと結婚なさったら?」

彼女の声から悲しみが伝わってくる。
まるで『午後は紅茶 シトラスアイスティー』のように甘酸っぱい悲しみが。

続く

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愛と潤いのドリンク劇場『伊藤君と円先輩』20本目(N:藤間しおん I:石原理)

2010-05-14

☆ 伊藤苑に入社した天才的な味覚を持つ伊藤若葉君のドリンク探求物語。


▼20本目『MAAX コーヒー』


その時、喫茶店の入口から僕らの席まで赤い絨毯がさーっと進んできた。


コカアイコン80

コカ「東に悩める女がいれば、さっと『MAAX コーヒー』を差し出し、西に泣いてる男がいれば、さっとピーナッツ味噌を差し出す。MAAAAAAAAAX!!!!! でジュ☆」

ポーズをつけたコカの後ろから、希鈴がすかさず蹴りを入れた。


希鈴アイコン 80

希鈴「何をしに来たのよ。コか公」

希鈴がピンヒールでコカを踏んだ。


コカアイコン80

コカ「相変わらず美しいね。君のために用意した『MAAX コーヒー』とピーナッツ味噌をどうぞ」


名波アイコン80

名波「うわ! 想像しただけで激甘」


希鈴アイコン 80

希鈴「ふん。飲んであげてもよくってよ」

希鈴はピーナッツ味噌を口に含み、『MAAX コーヒー』をごくっと飲んだ。

希鈴「ああっ! ピーナッツ味噌の蜂蜜と『MAAX コーヒー』の練乳が混ざり合うこの味!
 千葉県が贈るコラボレーション!
 脳を揺さぶる甘味のコラボはコカコーラと共通する中毒性を生む。そして舌に残るコーヒーの苦味が口をすっきりさせるわ」

続く

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